| 手前味噌というか、宮田石工土木流というか・・・・石積の算数講義です。(幼稚園並だと笑わないでください---ネ) | ||||||||||
| 法(のり)について | ||||||||||
| 法面(のりめん)の、「のり」になぜ「法」の字を当てたかはよく分からないのです。本来は「矩(のり)(かね)」の字が適当なんではないかと思うのですが・・・。 | ||||||||||
|
|
「直線的に a 進んだ位置から a に対して直角に b 進む」、このbのことをaに対する「矩」(かね)(のり)といいます。
吾十有余而志乎学(われじゅうゆうごにしてがくをこころざし) 大工さんが直角を測る時に使う差矩(さしがね)にも「矩」の字が使われます。 ま、決まっているものに異論を唱えても仕方が無いので「法(のり)」について考えましょう。 |
|||||||||
| 法勾配 | ||||||||||
| 石積(石垣)は垂直に積上げられることは少なく緩やかに傾けてあるのが普通です。 この緩やかな傾きが、我々の測量や丁張作業を面倒にしている張本人なのではありますが。そんな法勾配についての説明です。 |
||||||||||
|
|
法勾配とは、図2の直線cの傾きを表現することです。 表現方法はたくさんあるのですが、通常以下の2種類が一般的でしょう。
|
|||||||||
| 法長計算 | ||||||||||
| むかしむかし、今から2500年前のギリシャに、すっごく賢い人がいました。名前はピタゴラス。
三角形の内角の和が180度だということを発見した人です。 で、私達は、この人が考え出した「ピタゴラスの定理」っていう公式を本人には無断で使わせて貰っているわけで・・・ピタゴラスさんありがとう!! c2=a2+b2 cを法長、aを直高、bを水平距離に見立てて考える。この計算式ってとっても便利なんですよ。 この公式が正しいことを証明するために、土木屋さんが昔から使っている「3:4:5で直角」で計算してみましょう。 32+42=9+16=25(5×5)・・・・どうです?正解でしょう!! |
||||||||||
| 勾配が分かっている場合の法長計算 | ||||||||||
| まず、直高の倍率を計算します。 c=√(a2+b2) 3分勾配の場合は、直高aを1だとすると、水平距離は0.3ですから 法長cの直高に対する倍率は、c=√(12+0.32)=√1.09=1.044 直高に1.044を掛ければいいわけです。 |
||||||||||
| 法長と勾配が分かっている場合の直高計算 | ||||||||||
| これも、直高の倍率を計算します。 c=√(a2+b2)ですから 5分勾配の場合は、直高aを1だとすると、水平距離は0.5ですから 法長cの直高に対する倍率は、c=√(12+0.52)=√1.25=1.118 今度は直高を算出するのですから、法長を1.118で割ればいいわけです。 |
||||||||||
| 主な勾配での法長倍率表 | ||||||||||
| 勾配 | 表示 | 法長倍率 | ||||||||
| 2分 | 1:0.2 | 1.019 | ||||||||
| 3分 | 1:0.3 | 1.044 | ||||||||
| 5分 | 1:0.5 | 1.118 | ||||||||
| 1割 | 1:1 | 1.414 | ||||||||
| 勾配を角度(θ)で指定してある場合の法長計算 | ||||||||||
|
|
建築関係の工事などでは建築基準法の関係からか法勾配を角度で指定している場合が多いようです。 そこで登場するのが中学生のときに教わったはずの三角関数ですが、おさらいです。 sinθ=a/c cosθ=b/c tanθ=a/b 思い出しました? |
|||||||||
| 直高aが分かっていて法長cを計算する(関数電卓使ってくださいね) | ||||||||||
| c=a÷sinθ 例えば、θが70°で直高が3mの場合の法長は sin70°=0.9396ですから c=3÷0.9396=3.192となります。 |
||||||||||
| 法長cが分かっていて直高aを計算する(関数電卓使ってくださいね) | ||||||||||
| c=a×sinθ 例えば、θが60°で法長が5mの場合の直高は sin60°=0.8660ですから c=5×0.8660=4.330となります。 |
||||||||||
| 角度表示を旧来の法勾配に変更する(関数電卓使ってくださいね) | ||||||||||
| tanθを使います 例えば、θが65°だった場合は tan65°=2.144ですが、これは逆数ですので、1÷tan65°=0.4663を使います。 1:0.4663・・・・旧来の表現では4分6厘6毛となるわけです。 |
||||||||||
| 主な角度での法長倍率表 | ||||||||||
| 角度θ | 勾配 | 法長倍率 | ||||||||
| 75° | 1:0.2679 | 1.035 | ||||||||
| 70° | 1:0.3639 | 1.064 | ||||||||
| 65° | 1:0.4663 | 1.103 | ||||||||
| 60° | 1:5773 | 1.154 | ||||||||
| 45° | 1:1 | 1.414 | ||||||||
| 曲線(カーブ)のブロック積 | ||||||||||
| 出カーブにブロックなどの面の大きさ決まった物を谷積に積上げるには根石と根石の間隔を開けておかないと、段数が増えるのと比例してだんだんと窮屈になってきて、最終的には切断しないと入らないという状態が起こってきます。 これらの開きが前もって計算して分かっていると便利だと思いませんか。 経験豊富な石工さんだと「このくらいのカーブでこの段数だと○○cm開けておけばいい」と、なるのでしょうが、よく聞いてみると確固たる自信があるわけでもなさそうです。ここはちゃんと計算しておいて「根石の開きは、計算上は53oだけど余裕をみて60oあけて並べておきましょうか?」くらいのことが言えると石工さんの信頼度はぐっと増すかな・・・。 と、いうことで、再びやさしい算数です。 |
||||||||||
|
|
状況解説:上から見た平面図です。 R1:根石の位置の曲線半径 L1:根石の法線(延長) R2:天端石の位置の曲線半径 L2:天端石の法線(延長) I :角度(ラジアン) L1=R1I(ラジアン) 例えば根石位置でのR1=10m、天端石位置でのR2=8m、角度を30度とすると |
|||||||||
| もう一度計算式をよ〜くご覧下さい。分かりますか?・・・・そうです。全て掛け算ですから、 角度も法線長も法長もまったく関係ないのです。つまり、根石の曲線半径と天端石の曲線半径の割合で根石の開きは決定されます。 上記例でいきますと倍率=R2/R1=8/10=0.8 400/0.8=500ですから40cmの根石では100oの開きが必要です。 |
||||||||||
| 念のためにもう一度現実的な数字を例題としてみます。法長も勾配も延長も関係ありません。根石の法線半径と天端石の法線半径のみで計算できます。 根石の法線半径=123.500m 天端石の法線半径=121.350m とすると 121.350÷123.500=0.9826 となります。 400oの根石では 400÷0.9826=407.08ですから 根石の開きは7mm。 けっこう簡単でしょ!! 貴方の「経験と感」との数値の差を実感してみてください。 |
||||||||||
| 角度の計算 | ||||||||||
| 土方カーブの解説をする前に少しだけ・・・・角度について勉強します。 曲線は基本的には360度を全円とする角度で表されるのですが、これが複雑怪奇で分かりにくい。なぜ分かりにくいか考えてみました。 小学校入学以来、私達は、0から9までの数字で算数を勉強します。0123456789の次は10,11,12,13,・・・、20・・・30・・・、10ごとに繰り上がる。これがつまり10進数です。ようやく10進数に慣れた ころに時計のお勉強です。これがなかなか覚えられないのです。 そうです。時計は10進数ではないのです。24進数と12進数と60進数の組合わせなのです。ただ、現代社会では時計が読めないのは致命的ですので、私達はどうにか必死に勉強して時計がなんとか読めるようになり ました。 中学生になると今度はこの角度の勉強です。現在主流となっている角度単位は、度数法(ディグリー)と呼ばれ、度、分、秒で表されています。360度を円とするこの数字は360進数と60進数と10進数の組合わせで時計と同じくらいの複雑さなのですが、こちらはあまり日常生活に必要ではないのです。 で、覚えられない。 かといって、私達は、仕事の都合上、知らんぷりして通り過ぎるわけにも いかないので何とかもっと分かりやすい方法はないものかと考え続けるわけで、・・・・・。辿り着くのがラジアンと呼ばれる角度単位です。 |
||||||||||
![]() |
本格的測量をトランシットやトータルステーションなどで行わない限り曲線の要素計算ではディグリーと呼ばれる度数法(°’ ”)で計算するよりもラジアンで計算する方が断然有利です。
ラジアンとは、 今まで複雑であった曲線長の計算やインターアングルの計算はラジアンを使うことで格段にスピードアップします。 |
|||||||||
| 例題を使って少し練習してみます。 インターアングル(I)が30度で半径(R)が50mの曲線長(L)は まず、角度をデグリーからラジアンに変換します。30*(π/180)=0.523598ラジアン L=RI=50×0.523598=26.1799m 曲線長(L)が20mで半径が100mでのインターアングル(I)は、L=RIの逆算です。 I=L/R=20/100=0.2ラジアン ラジアンをデグリーに変換します。0.2÷(π/180)=11.4591度=11°27’32”96 どうですか?簡単でしょ! わかって頂けたところで土方カーブの解説です。 |
||||||||||
| 土方カーブ | ||||||||||
| このネーミングが適切なのかどうかはよく分かりません。ただ昔からこう呼ばれてきたので使わせていただきます。 | ||||||||||
![]() |
大昔に先輩に教えて貰った、通称「土方カーブ」。 左図での「M1及びM2の値はMの四分の一となる」、この法則はいくら細分化されても続く法則で、曲線での墨打ちや丁張には便利に使わせて貰っていますがちゃんとした計算式があったんです。「カーブの中央縦距はほぼこうなるんだよ」というだいたいの数字かと思っていたら、なんと正確なんだそうです。 ここでも計算はラジアンを使います。 I/2=L/2R C/2=Rsin(I/2) M=R{1-cos(I/2)} ここでも例題で練習です。半径Rと曲線長Lが分かっているだけで計算できます。R=50m L=10m での中央縦距は、 曲線長10mでの中央縦距が0.249と分かれば1/4の法則にしたがって曲線長5mでの中央縦距は0.062m、曲線長2.5mでの中央縦距は0.015mとなります。墨打ちでもこれくらいまで打つときれいな曲線となります。 |
|||||||||
| お手持ちの関数電卓の角度単位は、初期設定でDEG(デグリー)という度分秒表示になっています。これをRAD(ラジアン)に切り替えることで直接ラジアン計算ができるのですが、やはりラジアンが一般的でないこともあり、ちょっとだけ面倒でもDEGをRADに変換しながら利用するほうがいいのかもしれません。 「直角はπ/2ラジアン」よりも「直角は90°」といったほうが分かりやすいですものね。 |
||||||||||